関西派(革共同再建協議会)の『未来』に重信房子さんの発言(抜粋)が載った。
私なりにパレスチナ問題をいろいろと調べたのだけれど、やはり彼女の情報の豊かさや深さには及ばない。
 『未来』記事の上下を併せて転載させてもらうことにした。
 なお、リンクから接続すれば、京都集会の全体像も読めます。
【以下転載】……… ……… ………

 

 

一致団結したイスラエルへの抵抗
重信房さんは訴える(上)

未来第377号 (miraikakukyodo.jp)4面など
(10月15日 京都集会での発言 抜粋)

 重信房子


















(前略)

3。 「アルアクサ洪水作戦」は、なぜ起きたのか?
 今、パレスチナでは大規模な戦争が起こっています。攻撃を開始したハマスは、「アルアクサ洪水作戦」と呼んでいます。日本ではハマスの攻撃と言いますが、ガザの解放勢力が一致団結してこの作戦に参加しています。ハマスのアル・カッサム旅団、ファタハのマルワン・バルグーデイを指導者と仰ぐアルアクサー旅団、PFLPのアブアリ・ムスタファ旅団、イスラミックジハードなど、が一丸になっています。


 何故こうした大規模な作戦に踏み切ったのでしょうか? パレスチナの生存の闘争が臨界に達するほど人種差 別、民族浄化政策が続いたからです。その結果なのです。
洪水作戦はアラブ民衆に決起を呼びかけ、民衆の連帯でイスラエルや、アラブ政府や国際社会の現状を変える戦いを復権しようという意図もあります。


①去年12月末にネタニヤフ政権が成立し、これまで以上に極端なパレスチナ人への民族浄化が続きました。「イスラエルの歴史上最も過激な人種差別主義の右派政権」と西側報道が報じるほどの政権です。ネタニヤフは汚職で起訴されており、有罪になっても首相の免責特権を持てるように右派の要求を受け入れてやっと政権を作り上げ、司法改革を目指しています。


②この政権の特徴は、国際法も国連決議も無視して「占領地」と「イスラエル」という区分けを取っ払い全部イスラエルの領土としてパレスチナ人への侵略と弾圧を進めていることです。


③「ユダヤの力」党首ベングビールを、新設された国家安全保障相に抜櫂し、イスラエル国内ばかりか、これまで国防省が管轄してきた占領下の西岸地区や国家警備隊が管轄した東エルサレムの治安維持を含めて、ベングビールに全土一括統制下に置く権限を与えました。就任直後からのイスラーム聖地への挑発、扇動で入植者と軍の一体となったパレスチナ人弾圧が続きました。


④占領地併合を主張してきた「宗教シオニズム党」のスモトリッチは、財務相と、占領下パレスチナ人の出入国をも含む社会生活を統制する民生局をも管理する大臣を兼務することになりました。入植地の拡大併合、自治政府に代わって占領下パレスチナ人の税の代理徴収した財産をパレスチナ側に渡すのを停止しました。パレスチナ人の生活潰し追放を日々悪化して来ました。またイスラーム教徒にとって神聖なエルサレムのアルアクサモスクのこれまでの取り決めを無視して行動し、ユダヤ教の祝祭の場に替えようとして来ました。スモトリッチは4月、欧州で公然と「パレスチナ人など存在しない。パレスチナ人の言語、通貨、歴史や文化もない。何もない」と断じていました。こうした大臣たちが入植者を鼓舞して挑発扇動を繰り返してきました。その結果、激しい民族浄化、人種差別の弾圧挑発殺害が日々深刻化していました。


⑤ネタニヤフ政権は司法改革に対するイスラエル国民の激しい反対にも直面し、その批判をかわすべくパレスチナ人への弾圧が益々激しく続きました。この間だけでも、7月にはジェニーンでの難民キャプヘの大規模攻撃が反撃されてアパッチヘリを投入して殺戮を繰り返したり、入植者が何百人も押し寄せて村ごと破壊追放しようとしたり、パレスチナ人の集合住宅を違法だと難癖をつけて爆破したりと激しい民族浄化が繰り返され、すでに260人が殺されていました。


 ネタニヤフは9月 国連総会で「新しい中東」として地図まで掲げて勝利宣言のように演説しました。この地図のイスラエルには西岸パレスチナ自治区もガザも抹殺されてありません。シリアゴラン高原も含めて併合済みの大イスラエル地図が国連の場で堂々と掲げられました。サウジアラビアを含むアラブ諸国がアブラヒム合意を基礎にイスラエルと経済関係国交を開く「新しい中東」を作ると。(「パレスチナ問題の解決なしにイスラエルと国交を結ばない」というのがアラブ連盟の原則でしたが、イスラエルは逆に「アラブ諸国と平和条約を結びパレスチナ問題を解決する」と主張してきた長い歴史が、サウジを巻き込んで終わるという宣言でした。しかし、イスラエルと和平を結んだどの国の国民も、パレスチナ問題抜きの和平を認めていません。だから「アルアクサ洪水作戦」で各国民衆の反シオニズムの意思を力として各国政府に働きかける契機とする意図もあったと思います)


4
、 イスラエルは何故パレスチナ勢力に敗北する事態を招いたのでしょうか。
 おごり高ぶった入植者とネタニヤフ政権は、パレスチナ人、アラブ人を蔑視し、その結果、ハイテクと最強を誇る諜報機関も役に立たず、一方的に非国家主体に敗れました。現地の報道では、エジプトが1週間前にハマスの攻撃をイスラエル側に通報していたようです。モサドも情報を得ていたと考えるのが自然です。結局ネタニヤフが、ハマスらの攻撃を望んだとみるのが妥当だと思います。どうせ手も足も出ないガザにいるパレスチナ人なんかに何が出来るのか、飛んで火に入る夏の虫、とばかりにハマスに暴れさせてそれを口実に根絶やしにしてやろうと、高をくくっていたのだと思います。

 ところがパレスチナ解放勢力側は、50年前の中東戦争を記念する日を選び、あの第四次中東戦争を思わせる規模の大攻撃をやってのけました。ネタニヤフ政権は、大慌てで遅れてハマスを根絶やしにすると大虐殺をはじめています。ガザを封鎖し、水、食料、電力も完全停上しました。この封鎖は2006年にハマスが選挙でファタハに勝利して以降、ガザヘの集団懲罰の如くずっと制裁封鎖は今に至るまで続いてきましたが、さらにもっと徹底的です。 (つづく)

一致団結したイスラエルへの抵抗
重信房子さんは訴える(下)

未来第378号 (miraikakukyodo.jp) 8

4、(承前)京都市の40数パーセントにしかならない土地に230万人がおしこまれて暮らすガザ地区は「天井の無い牢獄」と言われてきました。イスラエル国防相は、パレスチナ人を「ヒト型動物」と非難しましたが、それはナチスがユダヤ人を非難した言葉であり、地上戦がこれから正当化されようとしています。パレスチナ人の命をどうでも良いと考えているイスラエルの指導者に、人質を大切にする考えはありません。米欧の政府がハマスを非難し、イスラエル支持の大合唱をしている限り、更に空爆、地上戦による戦争犯罪を繰り返すでしょう。
 わたしは、パレスチナの友人たちと共に闘い、生と死の命を日々見つめる中で生きてきました。

 

私たちは戦いの中で、無関係な民間人を巻き込み危険に晒し被害を与えた過ちも犯して来ました。だから自分たちの反省としても今こそ訴えたい。どんな戦時下でも武器を持たない人の命を奪うことは許されないと。
 自らの反省としても、どの、誰の命も奪い合って欲しくないのです。イスラエルの音楽祭など、武器を持たない民間人を殺したり、人質とすることも、ガザの無辜の住民たち民間人をシステマチックに無差別に虐殺することも、唯憎悪を広げ解決を遠ざけるということを、私は自らの闘いの教訓として訴えたいのです。特に、イスラエルは、こうした戦争犯罪、国際法無視の占領政策が日々、パレスチナ人を解放勢力に育てていることを知らないのでしょうか。


 私がPFLPにボランティアとして戦い始めた記録の一部は、去年出版した『戦士たちの記録』(幻冬舎刊)で記しています。(その中で述べているように、イスラエルや西側のメデイアは私がリッダ闘争を企画したり関与した様に印象操作をしていますが、私はリッダ闘争に具体的には何も関与していません。しかし占領に抵抗するPFLPのリッダ闘争を支持し、義勇兵として戦った仲間たちの、決然としたパレスチナ解放に命を捧げた献身を心から敬愛しています。又、日本赤軍は民間人を盾にしたり間違った戦い方をしましたが、人を殺したことはありません。これも印象操作されていますのでひと言付記します。)

5、 誰が占領者なのか? はっきりさせて停戦をもとめよう。

ハマスなどパレスチナ勢力を非難する前にまず考えてほしいのです。だれが占領者なのか? と。イスラエルが占領者であり、パレスチナ人が占領された土地に住む被占領者、被害者であるということ。この前提を抜きにした発言が横行してきたことが、平和解決をここまで損なってきました。ガザの「人道危機」ではなく、ガザのパレスチナ人に対するイスラエルの「戦争犯罪」なのです。まず占領者が裁かれ、占領をなによりも終わらせるべきなのです。占領者と被占領者の暴力を同列に置いてどっちもどっちと論じるのも欺瞞です。パレスチナ側は被害者なのです。占領に対して、人間の尊厳を掲げて戦うことは国際法、国連決議でも認められてきました。世界人権宣言に基づく権利を勝ち取る抵抗権は世界の人びとの奪われてはならない権利です。まず国際社会がこぞって占領をやめさせる方途を作るべきでしょう。


 そしてあの京都市の40数パーセントの土地に230万人のパレスチナ人が押し込められ、出入りを許されない監獄と化したガザに対する停戦と包囲解除を訴えることが火急の問題なのです。ウクライナでロシアの侵略に抗議して戦っているウクライナ人が英雄なら、イスラエルの占領に対して70年以上戦っているパレスチナ人も英雄です。テロリストではありません。

6、略

7、今こそイスラエルの占領に制裁を! 国連決議の再構築を!

パレスチナ、中東情勢はこれからどうなるでしょうか。
今年9月はイスラエルとPLOアラファト議長の間で合意した「オスロ合意」から30年目に当たりました。合意したイスラエルのラビン首相は暗殺され、ネタニヤフ登場によって変わりました。パレスチナに不利なオスロ合意に基づく和平交渉さえも拒否し続けたのがネタニヤフ政権でした。

 

そして臨界に達したパレスチナ人の怒りは、「アルアクサ洪水作戦」となって爆発しました。イスラエルは、敗北に衝撃を受けてパレスチナ人の生存を更に狭め、民族浄化の徹底的な暴力支配をこれまで以上に続けるでしょう。アラブ諸国も国際社会も目先だけのパレスチナ問題解決の見直しを問われるでしょう。アブラハム合意を結んだ国々を含めて、どの国のアラブ民衆もパレスチナの大義を支持し支援して共にある以上、アラブ諸国政府はイスラエルと足並みをそろえることが難しくなるでしょう。今、占領者の側にたって、平和や民主主義を語る米国の二重基準を、ウクライナと比べてみて欲しい。また「すべての当事者に最大限の自制を」という日本政府の呼びかけも、これまでそうであったようにイスラエルの占領と国際法無視を批判し抜くことなしに解決することが出来ません。

今こそ、この戦争を中東情勢の平和的解決への転換のチャンスとして、パレスチナ問題の解決を求めます。それは、イスラエルの占領地からの撤退、パレスチナ人の民族自決、難民問題の解決を目指す国際社会のイスラエルに対する包囲からはじまる公正なアプローチこそが問われています。世界が忘れている国連決議181号に立ち返ることが、公正な解決の道だと私は思います。あえて私は国連決議181号を訴えたい。


 1947年の決議181号では、ユダヤの国とパレスチナアラブの国、2つの国を作ること、エルサレム地区は国連が管理することを決定しました。それを無視してイスラエルが占領を続けていること、それを米国が無条件に支援してきたことが戦後秩序を歪め破壊してきたといえるからです。ガザのパレスチナ人の命を護る戦い、人質を護る戦いは、ウクライナ、パレスチナ含む戦争を停止させ反戦平和を闘いとることと一つです。


 イスラエルの戦争犯罪を告発する戦いは既に世界各地でパレスチナ人に連帯して広く行われています。こうした世界の動きに目を向け想像し世界とつながる日本を描いて欲しいのです。これから厳しいイスラエルのパレスチナ人への弾圧が続くでしょう。更にイスラエルはレバノン、イランヘの侵略を射程に入れています。でも私は悲観しないで連帯します。民衆のシオニスト・イスラエルヘの闘争心は更に深まるのを知っています。


 パレスチナの友人が言っていました。「希望を持ち続ける限り希望は消えない」と。もう一人の友人が言いました。1990年代のことですが、「今世紀は負けても、次の世紀には必ず勝つ」と。世界は最早、米欧諸国の二重基準で壊れた国際秩序をあてにしていません。国家レベルですがBRICSでは、 サウジアラビア、UAE、イラン、エジプト、という中東の四カ国を含む6カ国が新たに来年から加わります。世界のエネルギーの6割を掌握し、脱ドル体制を目指すでしょう。8月キューバで開催されたG77プラスチャイナは既に34カ国が加盟しており、首脳が集まりました。議長国として登壇したキューバ大統領は、途上国は不平等な貿易や気候変動問題などで先進国の犠牲となってきたと批判し、「われわれグローバルサウスが、何世紀もの間続いてきたゲームのルールを変える必要がある」と主張しています。


 世界は資本主義の一元的文明ではなく、自然な流れとして多極的な多文明の社会を求めています。50年、百年先を考えればよくわかります。
 日本が今のままでは心配です。自民党の米国政府追随の戦争政策、立ち遅れた家父長的文化を変革して、アジアと善隣友好的に立つ日本を生き延びさせましょう。国内の暮らしの中からの反戦の行動とともに、国境を越え、二重基準を排した、より公正な世界秩序を求めるパレスチナを含む人民連帯の行動と結び合って、何としてでも日本の戦争への道を押しとどめたいと願っています。(おわり)