④年金との併用
今年還暦を迎える人は、「25年」か「15年」の加入期間を満たして、「特別支給」の厚生年金を受ける人も多いだろう。
男性なら昭和28年4月1日生まれ以前の人は、60才から厚生年金の報酬比例部分の受給権が発生する。女性の場合は5年早く、昭和33年4月1日生まれ以前の人が、権利を得る(以下「比例部分」または「2階部分」)」。
定額部分(「1階部分」)の支給は、少しづつ遅くなり、比例部分との合計を受け取ることになるが、今回は深入りすまい。
今回は、近く年金をもらえる人を対象に、高年齢継続雇用給付との併用について考えたい(以下「雇用」)。
年金の「定額部分」を「くり上げ」るかどうか?シフトを変えた方がいいか?「8勤」の方が得か?――に焦点を当ててみた。
 
年金給付の停止は2種類
年金は、次のA.Bの停止額の合計が停止される。
 
A 総月収28万円の壁
 支給停止額
=(基本月額+平均月給-28)/2
 ここで、基本月額とは、年金の月額のこと。また、平均月給とは、正式には「総報酬月額相当額」で、直近の12か月の給料とボーナスの合計を12で割ったものだ。
 式の意味はけっきょく、「年金と平均月給が28万を超えたら、その超えた部分の半分が停止される」、ということだ。
合計が4万円超えたら、半分の2万が消える、ということ。
 もちろん、停止額が年金月額を超えたら、それが停止の上限だ。
 ただし、支給停止の計算式での年金の「基本月額」には、65才までは、このとき支給されている定額部分も含まれる。「扶養家族」の加給年金や国民年金の老齢基礎年金は、含まれない。年金基金も含まれない。
 年金月額が28万以上や月給が48万以上の人には別の式があるが「略」。
また、65才以上になれば、右の28万が48万になる。「48万超部分の半分が停止される」ということ。
 
B 雇用の給付金の4割
支給停止額=雇用給付金の4割
働いて雇用保険の給付を受けている人は、受けた月は、その4割、が年金から減らされる。出所は違うが、雇用の給付金が6割に減らされると計算した方が早い。
Cさんの実例
参考までに、例を挙げて見ておきたい。

 
Cさんは、厚生年金の月額が10万で、平均月給が30万だとする。60才前の半年間の給料の平均の「基準月額」は、ほぼ上限の45万で、「雇用」からは約3万が出る。

①この場合、
平均月給30万+年金月額10万=40万になるから、28万を12万超える。
12/2=6。よって、Aの「28万の壁」での停止額は6万円になる。
これに「雇用」給付が3万出るが、うち4割の1.2万、を年金から減らされる。年金の停止額は合計7.2万になる。もらえるのは2.8万だけだ。
結局、30万+3万+2.8万=35.8万。35万8千円が収入になる。
②このCさんが、平均月給を20万に落としたらどうなるか?
停止額は2/2で1万円。雇用給付が15%の3万、年金の減額は4割の1.2万。総額は、30万8千円になる。
③もしこのとき、Cさんが「8勤」なら、在職老齢年金の対象から外れ、年金の減額がなくなる。総額は、32万になる。
35万8千と30万8千と32万…
給料が多くて総収入が減ることはないけれど、考えた方がいい例だ。
右の②の場合は、いっそのこと、いったん会社を辞めて、再就職一時金をもらって③という選択もある。
ふつうの退職・再就職なら、雇用保険の加入が6ヶ月以上から5年未満なら、「所定給付日数」は90日。直近の6ヶ月の平均月給が30万なら、「残1月」でも9万。40万の「残4ヶ月」なら50万近くになる。もちろんこの場合、「継続雇用」の給付はなくなる。
社保庁に行こう
社会保険庁に聞けば、最近は丁寧に教えてもらえそうだ。
一般論を理解して自分なりにデイタを整理した方が、説明も正しくなり、理解も良さそうだ。
 
補 年金の停止と加給金
配偶者と二人生活の場合、厚生年金の加給金と特別加算の計は年40万弱。
配偶者の年収が「850万」以下なら可。「事実婚」でもOK。ただし、本人の年金が「全額停止」になると停止される。
在職老齢年金の場合、注意が必要だ。
 
補 年金と国籍
日本国内に住居を有する20歳以上60歳未満の者
 1982年(昭和57年)に「国籍条項」が撤廃され、国民年金の加入対象に在日「外国人」が加わった。同じく、厚生年金も「国籍」を問わない。
 戦後27年にして初めて、在日朝鮮人・韓国人や中国人の人々も、加入できることになった。
 しかし、一部の解説書では「日本人はみんな入る」という表現が多く、誤解を生む。
いま、「在日」の人びとに「無年金」や「低年金」の人々が多いと聞く。「国籍」条項撤廃の当時60才以上のひと、つまり成年として日本の植民地支配を直接体験した世代の人びとは、無年金のまま放置された。いま85を超える。
これは、年金改定にはつき物の「経過的措置」をあえて排除した結果だ。
「隠された国籍条項」による、「障害年金」からの排除も深刻だという。
「在日」の障害者の闘いで、「是正」した市区町村は約700。しかし東京は遅れている。23区では葛飾区だけだと聞いた。
「引き続く後責任」に想いを馳せたいとくにタクシー業界では、お互いに身近な仲間だから。「なまか!」
 
給付額の式(正確な式)
給付額=基準月額*(137.25/280-その月の月給*(183/280
これを四捨五入すると
  =基準月額*0.49-月給*0.6536
「見なし日額」
欠勤の場合の給付額は、
①「欠勤しなかった場合、支給されていただろう額」を「見なし月額」として、仮の給付額を求める。
②仮の給付額を「見なし月額」で割って「給付率」を求める。
③給付額=給付率*実際の月給a.見なし月額=月給+見なし日額*欠勤数
      b.見なし日額=前3カ月の給料計/(3カ月に実際に出た日数)
.「        *実際に出た日」には「バイト」も有給も入る。
 
下は、出番当たりの営収が一定と仮定した時の大まかな略式
 給付額=基本月額*0.49*(24-欠勤数)/24-0.6536*月給
 
 
「ウツクシイクニ」を下から読んでみろ