資料1-1
 
会誌編集委員長
山田耕作です。
日ごろお世話になっています。以下のような理由で添付のコメントを投稿します。
「被ばく線量のしきい値の有無は未だ結論の出ていない、物理学の専門領域を超えた問題であるため、本欄においてこの問題の正否に直接かかわる議論はこれで打ち切りとします。」とのことですが今回のコメントは「物理モデルの理論式の理解の誤りに関する純粋に物理の議論に限定したものです。この誤りをこのまま放置することは物理学会の見識を問われる問題と認識しています。数式の結果の意味を逆の結論にしていますので、全く正当な論理を欠いています。教育的にもよくありません。 (1114日)
 
稲村氏の「もっと真実を知ろうー被ばく線量にはしきい値があるー」に対するコメント
                      山田耕作 kosakuyamada@yahoo.co.jp
稲村氏は閾値のない式を導いて、しきい値があると主張している。稲村氏の式を検討してみよう。1) 時刻tにおける損傷を受けた遺伝子の総数をN(t)として答えは  N(t)=(D/μ)[1-exp(-μt)]
となっている。ここでDは単位時間あたりの損傷数、μは修復・免疫機能による単位時間あたりの再生率とされている。この式はtに関して単調増加関数であり、t=0からN=Dtで線量に比例してNが増大し、t=∞で飽和し、N=D/μとなる。この結果はDがゼロでなくて、μ=∞でない限り、Nはゼロにならない。つまりこの式は修復機能があってもDが有限であれば遺伝子が損傷されることを証明したものである。しかも稲村氏はD=σnIと仮定しているので、Iの小さい低線量であってDが小さくてもμが大きくてもNはゼロにならないこと、低線量の被曝が続けば遺伝子の損傷が起こり、しきい値がないことを示している。稲村氏は何を証明したのか。自分が間違っていることを自分で証明したのである。
 なお、稲村氏は自然放射能などをもちだし、バックグラウンドに近づく値を閾値としているが、観測が難しいだけで遺伝子損傷Nは上の式となり、損傷がなくなるわけではない。2)
参考文献
1.稲村卓;日本物理学会誌,vol.66,No.11,863.(2011)
.山田耕作;日本物理学会誌,vol.66,No.10,790(2011)
 
資料1-2
 
会誌編集部御中
編集委員長
 先ほどの投稿は編集委員長のコメントに配慮したものですが、必ずしも編集委員長のコメントが正当と思っているわけではありません。
 重要な被曝の問題を科学的に解明することは焦眉の課題です。
この観点から編集長に熟慮いただくことを含めて再投稿いたします。
こちらの添付の掲載を第一に要望いたします。
それが困難なとき前文を投稿としていただきたいと思います。
山田耕作         (1114日)
 
稲村氏の「もっと真実を知ろうー被ばく線量にはしきい値があるー」に対するコメント
                     山田耕作 kosakuyamada@yahoo.co.jp
稲村氏は閾値のない式を導いて、しきい値があると主張している。稲村氏の式を検討してみよう。1) 時刻tにおける損傷を受けた遺伝子の総数をN(t)として答えは  N(t)=(D/μ)[1-exp(-μt)]
となっている。ここでDは単位時間あたりの損傷数、μは修復・免疫機能による単位時間あたりの再生率とされている。この式はtに関して単調増加関数であり、t=0からN=Dtで線量に比例してNが増大し、t=∞で飽和し、N=D/μとなる。この結果はDがゼロでなくて、μ=∞でない限り、Nはゼロにならない。つまりこの式は修復機能があってもDが有限であれば遺伝子が損傷されることを証明したものである。低線量であってDが小さくてもμが大きくてもNはゼロにならないこと、低線量の被曝が続けば遺伝子の損傷が起こり、しきい値がないことを示している。稲村氏は何を証明したのか。自分が間違っていることを自分で証明したのである。
 なお、稲村氏は自然放射能などをもちだし、バックグラウンドに近づく値を閾値としているが、観測が難しいだけで遺伝子損傷Nは上の式となり、損傷がなくなるわけではない。この点も被害を隠すいつものやり方であるが、すり替えである。誠実な科学者J.グールドは原発周辺100マイルの住民の間に見られる自然放射線量に近い低レベルの放射線被曝による乳がんの増加を統計的に正しく導いている。2)
チェルノブイリ事故後の粘り強い研究によって、チェルノブイリ原発事故よって放出されたセシウム137による低レベルの放射線汚染地域で、チェルノブイリ膀胱炎というがんに発展する特異的な膀胱炎が発見されている。3) これは手術で取り出された膀胱の解剖の結果であり、100ミリシーベルト以下の低線量でがんが発生するという動かしがたい実例である。従って、100ミリシーベルトが閾値であるというのは誤りでる。4)
参考文献
1.稲村卓;日本物理学会誌,vol.66,No.11,863.(2011)
2. ジェイ・マーティン・グールド;低線量内部被曝の脅威(The enemy within)、肥田他訳、緑風出版(2011
3. A. Romanenko et al.; Urinary bladder carcinogenesis induced by chronic exposure to persistent low-dose radiation after Chernobyl accident. Carcinogenesis 30, 1821-1831 (2009).
4.山田耕作;日本物理学会誌,vol.66,No.10,790(2011)
 
資料2
 
編集委員長より以下の回答が届きましたので、お知らせいたします。
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山田耕作様
 
「会員の声」欄へのご投稿、ありがとうございました。せっかく
ご投稿頂いたところを大変恐縮ではございますが、編集委員会で
慎重に検討の結果、「会員の声」欄ではありますが 11月号の当該
欄末尾に記しました方針に基づき、今回は頂いた原稿の掲載を断念
することとなりました。このことに拘わらず、今後とも変わらず
学会誌の充実のためにご協力頂きますよう、謹んでお願い申し上
げます。                         平成23 11 25
                         第67期会誌編集委員長
                              旭 耕一郎