与田氏の人物像や関西の実像も欲しかった。もちろん「兵庫」問題も。
 私は与田氏とは一度会ったか無かったか程度だ。
 澤山氏へのテロで潜って久しく90年前後に浮上した人だと思う。
 公然面での前指導部を押しのけて、トップに復帰した。後の解同全国連の指導者でもある。
 関西の幾多の成功と活動家の疲弊の責任をともに負う人だ。
 『敗北』本によれば「左派」の要、実態的に大黒柱だ。その彼が中野さんに屈して「右派」の尖兵として別の「右派」への攻撃を強めたのが発端であり、その2面性が同時に左右の怨嗟の標的になったということらしい。
 関西前進社の彼の部屋には黒田著作選が揃っていたという。
 白井さんが住まいを中央に襲われて逃避行を続けていたころ、一時、荒本に匿われていたこともあるという話は聞いた。度量の大きい反骨の人でもあったということか?そんな人物が陥ったアナ。そういう視角からも検証が必要なのだと思う。
 
与田氏の「罪状」それ自体にも水谷さんらは深く触れようとはしない。「財政・私財・私腹の腐敗」「3日4日生活」「浅尾スパイ問題で政治局は腐っていた」等々、とは触れる。けれども「与田腐敗問題は口実にすぎなかった」というのが結論だ。
その結論の妥当性はおいて、浅尾スパイ問題(04年に発覚)とは関西の構成員のほとんどが実名とともに公安につかまれていたという事実に発する。関西に3人のスパイがいることなども暴露されていた。
 
公安調査庁マル秘文書集市民団体をも監視するCIA型情報機関』(2001/2)で
第2章 左翼諸団体の動向と調査」
 第4 革共同・中核派の組織と実態
   [革共同中核派組織系統図]
 第5 革共同・中核派関西地方委員会の組織と構成員
   [平成6年度年報用]
 
 「聖と俗」。「黒猫も白猫も…」。使い古した言葉だけれど、政治学・「革命論」にあって欠くことのできない一分野であることを改めて感じ入る。清水さんの「俗物的大きさ」に切り捨てられた両氏にとっても不可欠のテーマであるはずだ。