で、職場や同業の会話を再現してみました。少し長いけど。

近場専門の乗務員たちは?
寅  参ったな。明日からどうしよう?どうする?
  おれは都心で近場の客も障碍者割引もほとんど無いから関係ない!
  病院専門なんだよね。「お年寄り」や「障がい者」が多いね。当れば遠距離なんだけど、大半は1キロ程度の駅だね。
    トータルして売り上げは平均以下だけど、ラクで宝くじ狙いがいいんだ。
豹  どうやら都心が怖いか。それとも都心のサラリーマンが嫌いかだね。
  駅付けが多いけど、似たようなもんだね。
   「ピストン輸送」が専門だ。今回はきつい。
    やり方を変えようかとも思う。
  新橋や有楽町はどうかな。とくに新宿駅西口地下あたりはピストン専門らしい。
    ここがどうなるかは「見もの」だね。
  

カサ代わりの功罪
   1回400円や5百円だと、時間当たりの売り上げが3千円になるには、6回も7回も乗せないと勘定が合わない。
   10分に一回、ピストンするには、降りた場所で無理やりUターンしても間に合わない。ピストンは辞めたほうが無難だ。

路地裏の恐怖
  雨の日の月島とか、雨狙いのポイントもいくつかある。
     「カサより安い」というのも増えそうだ。
  雨や雪などの日には近場の体の悪い人が「悪いけど、今日は、路地の中に入って」ということも増えるね。下町は特に年寄りや路地が多い。

   そう。会社でも「路地には入るな」という注意はあるけどね。
    狭い路地に人がいる。飛び出しもある。行き止まりでバックしようとすれば、路上に何があるか分からない。時間を食ってあせれば、よほど気をつけてもこすったりする。始末書が待っている。何といわれようと、路地は避けたい。
豹  オレなら始末書なんてものの10分で書けるけど。あんたじゃ小一時間は軽くかかりそうだ。脂汗をかきながら、ね。

  最悪、路地の入り口でとめて、手を引くか荷物を持ってあげるのも選択肢ではある。
  でもそれで、「駐禁」でつかまったら?
  そうなんだよね。実例もずいぶんあるし…。

駅や病院? 君子危うきに…
猫  天候の悪い日は、駅や病院に近づかないか、勝手に「回送」にするかが無難かもしれない。

  多分、駅の構内では、車がいなくて人があふれることになる。
  そう。乗り込んできて、焦りと苛立ちをぶつける。せっかく「好意」で入っても…。やりきれないね。

猫  若いサラリーマンや中距離客は外に飛び出してくる。残るのは走れない人たちか、乗りなれていない人だけだ。これがまた怖い。

  外で信号待ちすれば、勝手にドアを開けて乗り込んでくる。
      危ないし、中央車線を走って、遠くから、良さそうな客を選別するのが一番だ。
  それって違反だけど。でもそれがいいかもね。

  「わが身大切に」「君子危うきに」ね。

(話を広げて つづき)
  業界全体でみれば、営収の増減は分からない。
    ただ、今までの話でも「実車率」は上がるはず。そんな雨の日に路地裏でニッチモサッチモ行かなくなる車を脇にみて、お得で安全な走りをひねり出すのがいいのかも。

「はいポーズ」
今度の料金改定は陸運局にとっても、「何かしています」のポーズ取りのように思えてならない。「障害者やお年寄りのため」みたいな、ね。
  業界にとっても、相変わらず「なべ底景気」だ。協会幹部も変わった博打をしたいだけじゃないかな?どの道、乗務員にかぶせるだけだ。
  単なる「おためごかし」。

おためごかしと丸投げと
牛 「お年寄り」や 「弱者のため」みたいな話があるけど眉唾だね。
  小泉改革のときに「増車のメリット」として「失業者が減る」みたいな事を言っていた。現役の乗務員が安月給の一部を新規参入の新人に分け与える、っていうことだった。
    あれが「ブラック産業」に拍車をかけたんだよね。
  前回の値上げの時はマスコミも信じられないほど好意的だった。「乗務員の過酷さ」みたいな特集が続いた。
  あれって、業界の鼻薬が効いたのか?値上げしてパッタリ消えたね。良く言って実情をよく調べもしない「善意の気分屋」。
牛 でも、イットキ、一部だけでもそんな「優しさ」みたいなものがあり難かったのは事実だよね。

  ま、労組も「減車、減車」といい続けて。地理試験が難しくされて、人手不足になってからもまだ「減車を」とトンチンカンなことをいう。これまた業界の代弁者に成り下がった。
  それは、組合も活力を失ったからで、お年寄りの幹部らの「変節」というのは少し酷な気も。「トンチンカン」だけでいい。それにもともとこの業界では「労使共闘」が必要な場面も多い。

車   なるほど。「組合が業界をリードする」こと自体は必要だったんだね。

障割りの乗務員負担
  障割りの時と同じ。値下げの条件に「自主的に」障がい者割引を導入した。
  で、結局は割引分は乗務員に丸投げだ。世間は知らないけれどね。

鼠  そう、「運転者負担」。クレジットの手数料もそうだし。ま、パスモなどの「交通系」は手数料は取られないらしいけど。
   「処理が速くて損の無いスイカ」を使って欲しいね。
   特に路上の降車ではね。

  クレジットなどの手数料は「乗務員負担」がほとんどかな。
    障割りはだいたい6割が乗務員負担。千円の割引で6百円を持つのが相場か。
  正確には会社により、乗務員により、だ。
  会社によっては全額会社負担もある。ごく一部だけれどね。これだと気分的に負担が楽だ。ただそんな会社でも、そういう制度を知らないほうが多数派だ。
  オレの歩合は70%。だから70%を運転者負担だ。必要な事だから、気にしないけどね。
  オレは嘱託だから50%。制度がある以上、たんたんと、事務的に処理するのが当然だ。
   「障がい者」かそうでないかは外見ではわからない。障がい者手帳の有無で自分の「判断」を排除して、実務に徹する事だ。
  オレは営収が少ないので45%。オレよりはるかにいい生活をしている障害者に割引を求められると息苦しくなるときがある。

  どこからも「公費負担」の声が聞こえない。誰に言えば良いのかね。お国の役所か障害者団体か?俺たちの労組か?    

お年寄りって誰の事?
鼠  「お年寄り」って誰の事?
    オレは後期高齢者だけど、20年間、無事故無違反でやれている。ウチにこもるよりよっぽどいい。
  うちの会社でも乗務員の半分は「お年寄り」だ。若い客の大きな荷物をトランクに積まされて、「ぎっくり腰」で休職という話もよくある。「バカだね」で終わり。
   「高齢者ドライバーの事故」が言われるけど、「高齢者の乗務員」がいなくなったら、会社も業界も成り立たなくなってる。
   俺たち「お年寄り様」だね。
… … … … … … … … … … … … … … … … 
  どうしたことやら。
  どうなることやら。
  どうしたもんじゃろねー。