【ブログ注】ぜひ活用したいと…【以下引用】
2021 年1 月 14 日感染症法改正議論に関する声明
日本医学会連合などが「罰則」新設に反対声明 感染症法改正案巡り声明
☆公衆衛生学会 一疫学会
内閣総理大臣 菅 義偉殿
厚生労働大臣 田村憲久殿
【ブログ注】ぜひ活用したいと…段落がほとんどないので独断で付けました。【以下引用】
現在、検討されている「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(以下、感染症法)の改正案の一部として、新型コロナウイルス感染症の患者・感染者が入院措置や検査を拒否した場合などには刑事罰を与えること、感染に関する情報提供を拒否した場合にも罰則を科すことが、政府与野党連絡協議会資料に示され、一部で既に報道もされています。
感染症法の基本理念(第2条)には「新感染症その他の感染症に迅速かつ適確に対応することができるよう、感染症の患者等が置かれている状況を深く認識し、これらの者の人権を尊重しつつ、総合的かつ計画的に推進されることを基本理念とする。」と書かれています。この基本理念の背景として、前文には「(前略)我が国においては、過去にハンセン病、後天性免疫不全症候群等の感染症の患者等に対するいわれのない差別や偏見が存在したという事実を重く受け止め、これを教訓として今後に生かすことが必要である。
このような感染症を巡る状況の変化や感染症の患者等が置かれてきた状況を踏まえ、感染症の患者等の人権を尊重しつつ、これらの者に対する良質かつ適切な医療の提供を確保し、感染症に迅速かつ適確に対応することが求められている。」と書かれています。
このように、過去におこった感染症患者に対する悲惨な差別的措置に対する深い反省に基づいて同法は制定されています。かつて結核・ハンセン病では患者・感染者の強制収容が法的になされ、蔓延防止の名目のもと、科学的根拠が乏しい中で著しい人権侵害が行われてきたという歴史があります。上記にも記したように現行の感染症法はそうした歴史的反省のうえに成立した経緯があることを深く認識する必要があります。
入院措置を拒否するには、措置により阻害される社会的役割(たとえば就労や家庭役割の喪失)、周囲からの偏見・差別などの理由がありえます。現に新型コロナウイルス感染症の患者・感染者、あるいは治療にあたる医療従事者への差別も報告されています。
これらの事態に対処せずに個人にのみ責任を押し付けることは倫理的に受け入れがたいと思われます。また刑事罰・罰則が科されることを恐れるあまり、検査結果を隠す、ないし検査を受けなくなれば感染状況が把握しにくくなり、かえって感染コントロールが困難になることが想定されます。
かつて性感染症対策や後天性免疫不全症候群(AIDS)対策において強制的な措置を実施した多くの国が経験したことであり、公衆衛生の実践上もデメリットが大きいものとなります。
罰則を伴う強制は国民に恐怖や不安・差別を惹起することにもつながり、感染症対策を始めとするすべての公衆衛生施策において不可欠な、国民の主体的で積極的な参加と協力を得ることを著しく妨げる恐れがあります。
上記を踏まえ
1)感染症法の改正において感染者の人権が守られ、感染者が最適に医療を安心して受けられる社会環境を提供することに最大限配慮すること、
2)あらゆる感染症において国民の参加協力のもとに感染を適切に制御する観点から、患者・感染者の入院強制や検査・情報提供の強要に刑事罰・罰則を伴わせることは不適切であること、
3)感染者やその関係者の個人情報保護に改めて最大限の配慮がなされるべきであることを声明として発します。
また国民の参加協力を得て感染拡大を阻止する上で、入院勧告、宿泊療養・自宅療養の要請などの措置を行うにあたり、措置に伴い発生する社会的不利に対する補償(就労機会の保障、所得保障や医療介護サービスの無償提供など)を十分図ること、そして感染に伴う偏見・差別行為に対し毅然とした規制を行うことを併せて求めます。