目次をあえて公開したのはひとまずその構成を知ってもらうためだ。
 長くなってしまったので、お茶でも用意しながらお読みください。
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まず3部に分かれる。
第1部は、45年集会での発言を採録したもので、いわば「オリジナル部分」。全体の半分弱がこれに当たる。
第2部と第3部は、すでに公開されたもの。元々は中核派の『前進』や季刊誌『共産主義者』や知識人:弁護団などの『破防法研究』で文字として公開されているものだ。

発行主体は誰か?
「江村編集」とあるが、集会を呼びかけた向井さんや「実行委員会」などが冠されてもいない。

 そうした事実を踏まえ「編集者の目指す方向性」についてあえて言っておきたいこともある。
 まず第1部。
 ざっと見て、編集者が強調したい発言は3つ。

 ①先ずは呼びかけ人の向井さんの発言(「3全総」)。
 本多さんの神髄=革共同の神髄は「地区党建設・労働運動」という発言は、実は70年前後の学生運動出身者にとってはいわば「寝耳に水」と言ったら言い過ぎか?
 ただ、発言の中身は向井さん自身の体験談や本多さんの思い出などが満ちていて、「違和感」は少ない。それに90年代以降に労対や労働運動に踏み込んだ人々には「ついに言ってくれた」という人もいるかもしれない。労働現場で活動する人には「何を今さら」かもしれない。
 さらに最近の中央派も「歯に衣」を着せながらではあるが、同様な領域に踏み込んで久しい。いわば「三全総に帰れ」。向井さんが意図してかしないでか、故岸・水谷氏らの『敗北』本ーー武装闘争=ロケット弾路線の継続論を批判している。ただ、こうした向井さんの発言はすでに集会実行委員会のブログで公開されていて今でも読める。hondanobuyoshi1975

 ②
次いで水谷(槙)けい子さんの特別報告「本多さん虐殺の真相」だ。
 槙さんは横国大出身の旧姓で、中核派の女性解放委員会の責任者も務めた人。水谷保孝氏の連れ合いでもある。
 革マル派が「本多書記長が交通事故にあい瀕死の重傷」という偽電話に始まり、ご家族をはめ込んだ大掛かりな謀略=演出によって本多さんのアジトを突き止めて凶行に及んだ全体像が語られた。

 政治局が押し隠し続けた襲撃の実像が初めて公開された。ただ実際には秘密は漏れるもの。今回の報告で実際に私が知ったのは、「横浜の病院の革マル医師」が一つの病室を抑えて家族と「包帯だらけの本人」の面会場所とした、ということだけだ。

 ③
水谷保孝氏の「本多暴力論」継承発言。タイトルの立て方も分量も向井さんの発言に匹敵する。
 02年の白井朗さんへのテロと沈黙への「自己批判」もある。私や牛〇さんがヤジを飛ばしたのは、この自己批判に対してだった。
 自己批判の要旨は、「仮に白井が間違っていたとしても、本多暴力論の正しい適用ではなかった」。この「上から目線」の「自己批判」にはあきれる他ない。
  そもそも「自己批判」は誰に対してなのか?まずは「被害者」に赦しを得て…自分のブログ『試練』でまともに書いて、それから公開の場で要旨を語る、のはず。
白土 当ブログでは90年前後の白井氏の民族問題の出版提案とその後のいくつかについて書いている。私としては「血債の思想」やスターリン主義批判のスタンスがここでついに理論的にもコペ転したと振り返る。(実践的には70年代~80年代に「棚上げ」=放棄されていた)
【補足 以下】         
水谷氏らが失脚した06年の「関西での党の革命」をメインに据えると、白井さんへのテロと隠蔽の構図は、その序奏とも言える。水谷氏が本気で自己批判するなら、その辺も含んで欲しいね。【以上 補足】          
 その辺も併せて、機会を改めて論じていきたいね。
 水谷氏の発言には革マルの反革命的言辞集みたいなものが付いていて、結果として向井さんの分量に匹敵する。これも何のためのものか?

 ④他の元中核派諸氏の発言などはそれぞれの今の立ち位置や思いを語っていて、それはそれとして貴重だともいえる。
 斎藤政明さんは奥浩平がいた─私的覚書 (RED ARCHIVES 03) | 齊藤 政明 |本 ...の著者
 高田武さんは「地下潜行/高田裕子のバラード (レッド・アーカイヴズ 04) | の著者
 伊藤隆〇さんの発言は当ブログにアップ済だ。伊藤さんの発言 : 『狂おしく悩ましく』
 原田誠之さんの「」も実行委員会でアップ済み。
   関連して私の芝工大事件=滝沢紀昭さんの死の経緯についての集会での「5文字の削除要請」発言は当ブログでアップした。

   白土 ただし、こういう形で出版するなら、実はまだ問題が残っている。当時の中核派メンバーも事件の被告人だったという事実も含めて明らかにする必要がある…

 「共産党による告訴事件での指名手配中…」についても、「反戦連合ほか」の人たちも手配されていて、実際に起訴されたのは実はそちらの人々だった。「闘う中核派VS 闘わない離脱グループが」…という構図からくる表現自体がが問題だ。
 あえていえばこの辺も削除の対象。この問題も、「内ゲバ」の問題を正面から振り返る時、避けて通れない。
梅 「非業の死者」は革マル・共産党そして連合赤軍関連を含まない。もちろん反日武装戦線は含むけど。救援連絡センターのそれとも区別される「一定の政治判断」があることは知っていた方がいい。
 以上のことは、場所を改めて続編にしよう。
白土 うん。色んな事件やいろんな角度から、時間をたっぷりとって話し合いたいね。
 
紅  在日の李さんは「7.7自己批判」について在日としての違和感をはっきり強く語った。(華靑闘=在日華僑と在日の立場の違い)
 各氏の発言は、あれから時と経験を経て、「今」の思いが満ちている。さしあたり「てんでんこ」で「不協和音」だ。先の3発言や水谷発言に集約できるものではない。むしろそこに今後に残したいものがあるとも言える。
 改めて発言集だけならたぶん全体の4割弱か。それだけにしておけば無難なものになったともいえそうだ。

第2部・第3部は、当時の本多中核派の地平を語っている。革マル派の蛮行の意味もよく分かる。歴史的文書ではある。
 しかし、この2・3部には何か根本的な怒りをもつ。
 ㋑それぞれの発言は、いわば「中核派との蜜月期の言葉」だという事実だ。
 その後の経緯の中で、ほとんどの人が中核派との関係を断つ、または断たれる。
 ㋺多くは故人になっているが、いま改めて公表するとしたら、掲載を拒否するか、最低一定の補足説         明をしたいはずだ。
 ㋩今の時代は、「著作権」、死後であれば遺族のそれが大事にされている。編集者としては常識と言      っていい。
   特に白井朗さんによる追悼文の転載にはびっくりした。白井さんの清水氏や本多さんへの「不忠」をテロの理由にした人が大々的に引用するとなんて…
 たぶん、発言集だけでは「売れない」ことからの「やらせ」というところか?
 『前進』は昔から「人権に無関心」と言われて来たが…
水谷氏の白井さんへのテロの「自己批判」は、この出版計画から逆算したものと考えると、いかにもガテンがいくね。

湯本発言の削除など
 ところで、ここには「湯本=白土発言」が無い。そのいきさつは?
白土 うん。「載せる」とも「載せない」とも連絡もなかったね。集会最後の江村氏の出版発言にも正直言って「絵空事」以上の感想もなかったけど。
垣沼さんも同じで無断で排除された。
 遙かなる一九七〇年代-京都 学生運動解体期の物語の記憶の著者。松岡 利康 他1名
 槙さんの第2発言も削除された。発言自体が闇の中になった。いわば「爆弾発言=元中核派の女性としての自己告発」でも。これを削除できるのは水谷氏以外にない。

水谷監修
 いろんな経緯からしてもそもそもこの企画は、水谷氏の「本多正統派宣言」みたいなもの。
 その意図はボロボロの結果だけれど、その思いだけが溢れ出している。
 「水谷監修」本と定義するのが正しい。
 改めて、第1部だけなら、意味あるものなのだろうけど。
 まっ、この記事が公表されるのが遅れた分だけ、本書の売り上げに寄与した、といえるのかもね。